新しく「会社法」ができました。さる6月29日、新しく「会社法」が成立し、来年5月に施行される予定になっています。
以下に最も身近に関係するものだけを取り上げます。
(1) 有限会社法が廃止され、有限会社の設立はできなくなります。
来春に会社法が施行されると、有限会社法は廃止になり、施行日以降は有限会社を作ることが出来なくなります。
現在ある有限会社については特例が設けられて、現在の有限会社は今のままの状態で存続できるようになります。この特例により存続する有限会社は、実体は有限会社なのに「会社法」上は株式会社とみなされます。このような有限会社を「特例有限会社」とよびます。特例有限会社は、商号に「有限会社」という文字を用いなければなりません。「株式会社」など別の文字を使うと100万円以下の罰金が科されます。
(2) 最低資本金制度がなくなります。
現在、資本金の額は、株式会社は1,000万円以上、有限会社は300万円以上なければならないと決められていますが、会社法が施行されると、この最低資本金制度が廃止になるので、資本金1円の会社でも株式会社として認められることになります。
このように資本金額の規制がなくなるので、有限会社の資本金のままで株式会社にすることができることになり、多額の資金を集める必要はなくなります。それなら、いっそ特例有限会社をやめて名実共に株式会社にしようか、と考える人も出てくるでしょう。
有限会社を株式会社にするためには次の三つの手続きが必要になります。
(1) 有限会社から株式会社への商号変更(有限会社日本商事を株式会社日本商事にする)
(2) 有限会社の解散登記(清算手続きは不要)
(3) 株式会社の設立登記(公証人による定款認証手続きは不要)、
(3) 株式会社の役員(取締役・監査役)の任期が長くなります(株式譲渡制限会社(注)に限ります)
現在、株式会社では取締役の任期は2年、監査役は4年ときめられています。
会社法が施行されると、任期を最長10年まで延ばすことが出来るようになります。
これによって、従来は2年に1回、役員変更のため登録免許税や司法書士への手数料として数万円かかっていたのが、会社法施行日以後は最大10年間は役員変更をしなくてよくなるのですから、かなりの費用が節約されます。
しかし、すべての役員の任期を最長の10年にするかどうかは考えなくてはいけません。
辞めてもらいたい役員がでたとき、任期途中で解任するのは難しいものです。任期満了時に辞めてもらうのがいいのですが、満了時までの期間が長いと、その間我慢をしなければならなくなります。 (特例有限会社には役員の任期はありません)
今までの説明をまとめると次のようになります。
| 会社選択 | 手 続 き | 商 号 | 費 用 | 役員の任期 |
有限会社の ままでいく | 今のままでOK (特例有限会社) | 有限会社 日本商事 | かからない | な し |
株式会社に する | 株式会社への商号変更 有限会社の解散登記 株式会社の設立登記 | 株式会社 日本商事 | 登記料・名刺・看板・ 会社印・銀行名義変 更・顧客への通知等 | 有り (最長10年) |
(4)取締役は1人でもよく、監査役はいなくてもよくなります。(株式譲渡制限会社(注)に限る)
会社法施行後は、社長1人だけの株式会社もOKになります。
(5)新規に会社を作るのが容易になります。
(1) 上に説明したように、資本金は1円でも会社を作ることが出来ます。
(2) 払込金保管証明が不要になります。
現在、会社を作るとき発起人は、金融機関に資本金を全額払い込み、払込金保管証明を貰わなければなりません。そのため次のような問題が生じています。
・ 金融機関が払込みをなかなか引き受けてくれない。
・ 払込証明を貰うのに手間がかかる。
・ 設立登記が完了するまで払込金を引き出せない
ところが、会社法施行後は、金融機関の残高証明書さえあればOKになり、このような問題は一切なくなります。
(3) 類似商号の調査をする必要がなくなります。現在は、会社の商号をつけようとする場合、もし同一市町村内に同じ商売をしている会社があって同一商号(混同しやすいもの=類似商号を含みます)を使っていれば同じ商号をつけることが出来ません。ですから、会社を作る際には、登記所で類似商号を使っている会社がないかどうかを調査しなければなりません。
しかし、会社法施行後はこのような規制がなくなるので、好みの商号を自由につけることが出来るようになります。ただし、同一住所内では認められません。以上のことから、会社法施行後は会社設立の手間はかなり簡素化されます。
(注)株式譲渡制限会社とは (非公開会社ともいいます)
株式は自由に売買できるのが原則ですが、資本金が小さい会社は小額の資金で簡単に買収されて経営権を脅かされる恐れがあるため、株主が勝手に株式を売ることを認めず、会社の承認を得なければならないと定款に定めている会社を株式譲渡制限会社といいます。
株式を上場してない会社は、定款に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならない」という規定を設けているケースがほとんどです。